●ディストリビューターの整備と調整

 ディストリビューター、通称デスビ。エンジンの各気筒の爆発順に高圧電流を流す為の配電、進角の制御をしている部品ですね。今時のダイレクトイグニッションでは、無くなってしまいました。ポイントギャップや点火時期調整は旧車乗りの宿命といえます。
 今回はストックの4機のゴミディスビを集めて、マトモなものを1機製作します。

・チャック@ディスキャップ
 
 センターピース(中心電極)とセグメント(電極)の電蝕、磨耗を点検します。赤矢印部が磨耗部分。センターピースを指で押し込み、戻り具合もチェックしておきます。今回はストックの新品(右)を使用しますが、電極を研磨する場合はギャップが変わってしまわない程度に留めます。また、キャップには穴が開いていますが、中古再生する場合はこの穴の詰まりもチェックしておきます。この穴はベンチレーションで、スパークによって発生したガスや外気温差によって発生する水蒸気などの排出に重要ですから、パッキンの不良と合わせて下の画像のような状態を作り出す原因になりかねません。
 また、キャップ自体の劣化もチェックしておきます。ひび割れなどが発生していると2次電圧のリークなどが発生しますので、不具合がある場合は即交換です。
 

・チェックAシャフトシールと進角装置
 
 キャップを開けてのメンテナンスだけでは気付き難いトラブルですが、ブレーカープレートを外してガバナ進角のウエイトとシグナルローターも見ておきます。このガバナーウエイトが遠心力で移動する事により回転数に合わせて進角する、重要な部分です。ここに大きなトラブルを抱えた例は、まだ見ていませんが、ガバナースプリングの折損などをチェックしておくと良いでしょう。進角装置の作動に関しては、ドライブシャフトを固定した状態で、手でローターを正回転方向へ回して抵抗があるか、スムーズに元の位置へ戻るかで確認します。
 左の画像は様子が変です。シャフトシールが逝ってオイルが漏れ出しています。通常、この部分にオイル気はありません・・・。OHは可能ですが結構な金額がかかるので、このユニット使えません(涙)。他のユニットを使い、キャップ内の部品を清掃してクリーンな状態にしておきます(右画像)。

・チェックBポイントギャップの調整

 コンタクトポイントは、電極の焼損や段つき、ブレーカーアームのヒール部の磨耗ををチェック。今回は新品のコンタクトポイントを使用します。ポイントが一番開く部分(シャフトのカム山頂部)でシックネスゲージを挟んでクリアランス(0.4〜0.5)を決めてからネジを締め込み固定します(赤矢印)。忘れずにシャフト(青矢印)のグリースアップを施しておきます。怠ると焼きついてしまいます。
 また、ポイントが焼損しているような場合はコンデンサも同時に交換しておきます。

・チェックCローター
 
 ローターは電極の焼損、磨耗、電蝕をチェック。左画像の赤矢印は、磨耗しています。ここまでくると交換です。亀裂などもチェックして、電極を清掃後に装着します。SJ20の場合はダストカバーを先に装着しておきます。内部も綺麗になり、スッキリです。


 コンデンサも交換して再生完了したディストリビューター。露出しているシャフト部のOリングは、劣化しているとオイル漏れが発生しますので一応見ておきますが問題ありませんでした。本体の損傷が進むと補修費用が跳ね上がりますので早め早めに整備しておきましょう。