●第6壊 一回戦突破 04年11月02日
 
 前回で入れたパテが乾いたので(正確にはそんなに早く乾燥しない)、ざっと研いでやる。他項でも述べているが、この段階で水研ぎは厳禁。ペーパーの寿命が縮まるので好かんがいた仕方あるまい。しかし鉄板屋根車というのは以外にもメンドクサイ。幌ならこの部分はないからね(←当たり前)。
 ところで、SJ10、20の幌、バンの残存率というとどちらが高いのだろうか。私の知る限りではエイトは幌の生存率が高い。私の推理では、新車当時に軽自動車と同じサイズで維持費が高い不経済なクルマが購入された背景はこんなところだろう。
1.本当に馬力が欲しかった本当の意味での実用ユーザーによる購入(雪国など) 
2.完全なる趣味のクルマとして購入された
1 については、バンが雪国で発掘されるケースが多い裏付けになる。で、2。この層に最も売れたのではないかと思うのだが、遊び車だけに幌が多かったのではないだろうか。過去に私のところに来たエイトは、元所有者を調べると、維持費があまり負担にならない法人登録であったり、ヤ○ザ屋さんだったりした。雪国で朽ちていくバン、趣味車として生き残った幌、ということだろうか。

 
 ひとまずサフを入れて一段落。表面の微妙な凸凹はもっと後(パテが縮みきってから)でラッカーパテで修正する。穴が無くなると精神的にもよろしい。錆穴埋めは心の浄化作業のようだ。世の中「癒し系」だの何だの言っているが、そのうちボロ錆車のレストアが最高の癒しです!なんて日が来るに違いない。

 
 しかし・・・振り返れば奴が居る・・・。ぱっと見は良いのだが、ボディ後ろまで入ったパテは右画像のように至る所で剥離し始めていて、その下は恐らくパラダイスだろうなぁ。うへへへ(パテ粉を吸い過ぎると壊れる)。ちゃんと剥がして処理しなくては、後で痛い目を見ることになる。


 反対側に振り返れば・・・こっちにも居るのかよ!ここは塗膜がブクブクに盛り上がっていて、まだまだ広範囲に転移していると思われる。穴は5個。余ったパテを適当に突っ込んでサビチェンジャーを塗りたくって応急処置。ここはこんなに腐食するところじゃないんだけどなぁ・・・。

おまけ
 
 助手席に放り込まれていたNISSANの箱。おもむろに開けてみると、モワモワ〜と煙が出て私は老人に・・・・ではなく。何と!中から新品のミッションマウントが出てきた。一個だけど。この箱はゴミ箱ではなくて玉手箱だったのね!

本日の出費 80円 ペーパー代
合計 73630円

●第7壊 不思議な出来事 04年11月09日
 私は当然、エイトのイグニッションキーを2台分持っている。同じキーホルダーに束ねているのだが、同じ車種だけに混同しやすい。買出しに出たある日、家に戻ってキーを抜く際にいつもと雰囲気が違う事に気付いた。SJ20FのキーシリンダーにはSJ20Vのキーがブッ刺さり、しかもエンジンもかかっている???一度抜いてまた入れてみる。入る。キーを捻るとエンジンが始動する!通常、同一車種であっても違うクルマのキーは使えない(当たり前)。鍵というものは使用してゆくにつれ磨耗するものだが、2車のそれを観察してみると似たように磨耗していた。キーナンバーも全く違うし、年式も2年異なる2台のキーが、長い時間を経て、このように共通性を持ち、更には一人の人間の手元に集まるという確率は・・・・低いでしょうね。
 思えばSJ20Fとはクサレ縁としても、GB250と400は共に元オーナーのSR乗り換えが事の発端であるし、オネダンも共に5万円。SJ20Vに関してはご存知の通り。おかしなめぐり合わせである。知識も技術も無い、ルックスはイマイチでおまけに安月給で鼻毛切りが趣味の人格破綻者を続けているが、沢山の有志との出会いや、こういう素敵な出会いがあるのなら、この生活も捨てたもんじゃないなと。そんな事を考えながら錆をオカズにパテ粉を吸う今日この頃なのである。

 
 前回でパテの剥離を発見した箇所。パテを砕いて中を覗けば・・・・・ご覧の通りである。化石でも発掘するならまだしも、錆の発掘にハンマーとノミを振るうというのは気が滅入るものである。パテの厚みはかなりブ厚く、その理由を探るべく観察してみると・・・・・
 
どうやら過去に腐食の激しかった部分を切除して鋼板を貼ったようだ。黄色の部分の少し上に見える赤い部分がそれである。錆びているのはその溶接部と貼り付けた鋼板で、穴が空くほどでもなく、元の鋼板は錆びていないのを確認して補修にあたる事にした。右は補修後で、最終的な面出しはまだ行っていない。ルーフの助手席側全体で面を出さねば苦労も水泡と化す。

 
 ルーフ左前端はパテ入れ部分が少々?錆びていたので錆を落としてからパテ入れ、研磨。またも硬化剤タップリの急速硬化仕様を薄付け・・・・。いい加減買いに行こう。パテ粉が周囲に飛散する量が増してきた。駅前での作業も気苦労が多く考え物である。このポンコツを修理しているという様子を見せておかないと、イタズラがとても怖い。よりによって小学生の通学路なのだ・・・。

 
 またまたついでに左フェンダーのスムージング。フェンダーとフロントパネルはそろそろ軽く錆を落としてサフ入れしてやろうか。錆こそあれど、事故痕や凹みが少ないのが本当に有難い。SJ20Fの方はマトモにクロカン傷を板金したらドエライ金額になるだろうなぁ。更についでに、駐車スペース前の荒地を耕して石楠花を植えてみた。コイツの花が咲くのが先か、エイトの再生が先か?勝負である。(駐:石楠花の開花までは、この状態から2年。私は勝てる勝負しかしない主義だ)

本日の出費 ペーパー代1030円 パテ代609円 計1639円
合計 75269円

●第8壊 錆とパテの狭間で 04年11月22日

 ルーフ左側の補修はほぼ完了。溶接で歪みが出ていた箇所と、凹みのあったコーナー部を修正して適当にサフまで。後に細かく修正しよう。そろそろ反対側へステージを移らなくてはならぬ。しかし屋根の補修ばかりで、画期的な板金法を編み出すでもなくダラダラした作業の連続で、本当にただの作業日記となってしまっている。ここをご覧頂いている方々に申し訳ない。だからさっさと屋根を終わらせる必要があるのだ(お手伝いでも雇えば良いのだが、作業を手伝ってもらうのが気に入らないのだから仕方ない)。

運転席側
 
 で、反対側。最初はカリフォルニア的な錆!!などと喜んでいたものの・・・・パテをめくればここは日本である事に今更気がつく(遅い)。手前のR部も、表面上はポチョっと錆びているだけだが、塗膜の下は死亡寸前(死んでるって)。またまたピンホールがボコボコと貫通するが、別に何とも思わない。研磨していくと、露出しているピンク色っぽいパテ以外に、黄緑色のラッカーパテが所々現れる。これは間違いなく板金プロ仕様で、恐らく全塗装時に入れられたものだろう。この黄色の塗膜、しっかり下地に薄黄色を吹いているので滅茶苦茶ブ厚い・・・・・シンドイ。ハンマーの柄のあたりに凹みが・・・・

凹み発見(遅)

 凹んでいた。何故私は今まで気がつかなかったのだろう。ご覧の通り、結構広い範囲で凹んでいる。何かが落ちてきたのかな?ザーっと研ぐと凹みの範囲が解かる。打撃が加わったのは手前の部分でRの始まり。さっさと直そう。


 凹みは凹みのみにあらず凸でもある。特にRがついていて張力がかかっている部分に応力がかかると、それが周囲に逃げる。従って表面に凸となって現れるわけだ。丁度、板金ハンマーが当たっているところが凸。ここをブッ叩くわけです。いきなりパテは入れない。叩くのは凸の修正ばかりが理由ではないのです。
 自動車の鋼板なんていうものは、ペナペナである。ボンネットに座るとボコンっと凹みますね。でも元に戻る。それは広い範囲に平面的に応力がかかっただけなので、鋼板は自らの力で元に戻るわけである。この屋根の凹みのように、狭い範囲に集中して力が加わると自力では元に戻れない。そこで、ある程度まで自力で戻れるように手助けをすべく叩くのである。優しく・・・レディを扱うかの如く・・・・
 
 与作の如くトントントン・・・・と叩き、応力を逃がしてゆく(これをコロシという)。するとボコンっとルーフが戻ります。凹みの一番深い部分に張り詰めていた応力が、元居た場所へ逃げ帰るわけです。画像を見ると解りますが、塗装が残っている箇所が凹み。上の画像に比べて浅く、小さくなったのが確認できると思います。この周囲を手で押してみるとベコっと凹みますが、周りをバンッと掌で叩くと元に戻る。これでほぼOKかな。後はパテを薄付けしてゆけば修正完了。デントリペア等がこの原理ですね。裏から戻そうとすると伸びてしまうので程ほどに。
 因みに、この作業(コロシ)を怠ってパテ入れのみで誤魔化そうとするとパテは厚く、広く、おまけに面出しに大変苦労する羽目になる。応力がかかったままなのでクラックの原因にもなり、良い事は全く無い(パテが厚いと硬化促進にはなるが)。

雨どいに排水口

 さて、以前のパテ入れ箇所の錆を落としている訳ですが、錆が出ているのは決まって下側。以前のパテ入れが悪かったのでもない様子。最近、朝には露が降りているのですが、ふと見ると・・・エイトの雨どいにお水が溜まっている・・・・。走っていると遠心力で排水されますが、長らく停車(不動なので当たり前)していると、雨水が全く流れないので下側からジクジクと錆が侵食している訳だ。こりゃイカンということで、雨どいの数箇所、窓の位置を避けて5mmの排水口を掘った。周囲はテーパー状にして、積極的に排水するようにしておいた。といっても、ルーフとボディの合わせ目であるこの雨どいは、その接合面が既に錆ているので気休めにしかならないが。これを剥がすとルーフが分離してしまい面倒なので、後に腐ったら切り落として半田で埋めてスムースしてやろうと思う。

おまけ:板金ハンマーメンテナンス

 愛用の板金ハンマー。これはその道のプロが何故か私にくれたもの(真意は全くわからず)。最近ではドリーとセットで結構お安いようなので、一本持っておくと楽しいツールです。イロイロな形状がありますが、我々シロートにはスタンダードなものがとりあえず一本あれば良いでしょう。少し工夫を加えるとなお良いです。
 先ず、叩く表面はバフがけしてしまいます。錆車を叩いていると表面がかなり荒れるので、こまめにやらなくてはならない。ここに傷や凸があるとそのままボディ表面に出てしまいますので(アルミは特に)!例えば、今回のようなルーフの補修や下↓のような補修の場合、凹みが軽度なら塗装を落とさずに修正できるケースが多々あります。板金ハンマーで塗装を傷つけたら・・・・・手間もオカネも倍以上でしょう。
 
 あと、これは私のハンマーの場合ですが。角を落として少し丸く加工しています。よくある事かもしれませんが、慣れないうちはハンマーを斜めに振ってしまう事があると思います。この時、角が立っていると結構強烈なダメージがボディに及びますので、転ばぬ先の杖ならぬちょっと丸いハンマーなのです。硬化剤とパテを買うお金が無くなったので今月はここまで・・・。

駐:私の作業は全く我流なのであまり真に受けぬように!

本日の出費 0円
合計 75269円