●第4壊 極上

 04年10月21日。SJ20Vのコンディションを観察してみよう。私がジム・オート湘南にて対面した折に出た第一声は 「程度イイですね!(お世辞や冗談は含まず)」 対して寺川社長:「ビョーキですね・・・」 ハイ。ビョーキですが正常です???確かに、幌車の方を観察したところ、サクサクになっており、素晴らしい錆景色は美の結晶ともいえるワビ錆を醸しており感動を禁じ得ない状態(ある意味素敵なのだが)。しかしながらバンはというと、私の歪んだ査定眼からしてもまさに「極上」(一般人には相当なポンコツに見えるらしいが)であった。当初の予想では、無料なだけに「限りなく土に近い状態」だと思っていたので、思わず頬が緩んでしまった。
 我が家の人間は幌ボディ至上主義であり、私自身も幌の方がスタイリッシュであると思い続けてきた。ニコイチするとあらば幌ボディを移植して・・・と思っていたが、このバンのコンディションを目の当たりにした瞬間、SJ20V(バン)での再生を決意したのだった。では、適当に観察してきた「素敵ディティール」を見ていこう。

詳細

 H-SJ20V 昭和54年式であるから、2型(中期型)である。車体色はアヴィニョンイエロー。このカラーは本来、3型(最終型)のFとFM(幌ボディ)のみに採用された色であり、全塗装を受けている。元塗装は年式から考えるとシリウスグリーン(3型からはリッチモンドグリーンに変更)である。バンに設定の無かった色だが、やたらと似合っている。このカラシ色はイメージカラーで、2型以前の幌モデルではギリシャンオーカーという近似色が採用されていた。因みに3型からデザートベージュが加わり、バリエーションが3色になっている。どうでもいいけど。更にどうでもいいかもしれませんが、寒冷地仕様です。
 フロントウインドーは吊り下げワイパーの跡と検査証票からSJ10の幌モデルから移植されていることがわかる。全塗装時にかなりの補修が施されたようだ。更に寺川氏により所々補修を受けている。状態については後述するが、何年間も土の上で雨曝しだったとは思えない奇跡的な状態だ。

フロント周り
 
この型のジムニーのボディは、非常に土壌還元され易い薄い鋼板で構成されている。マウント部から腐食が進み下側がグサグサになるフロントパネルは新品(!)に交換されている。そしてミラー取り付け部。裏側に補強が溶接されている為、必ず錆びて穴が開く部位であるが、奇跡的に穴が開いていない。というかほとんど錆びていない。
 
ここも定番ポイントでバッテリートレーは寒冷地でのバッテリーの破裂や転倒時の液漏れ等で形を失っているケースが殆どだが僅かな錆び程度のミントコンディション(註:ミントコンディションとは錆が全く無い状態を指すので間違った使い方)。反対側も、ここが雨水の通り道となるので要チェックポイントなのだが、ここも全く問題ない。まさに奇跡!ボルトが比較的新しい事から、交換されている可能性がある。

ルーフ
 
所々錆が出ているのを寺川氏の手によって補修されている。年数が経過している為、再発。しかし湿気の多い日本特有の錆ではなく、カリフォルニアっぽい(?)ドライな錆び方で補修は容易と思われる。一部にパテが入っているのでこれらは除去した方が賢明だろう。バンボディの場合、レインガーターに水が溜まり錆を誘発するがここも軽微。内装はルーフを張り替えねばならない。

サイドパネル
 
幌仕様のボディを元にパネルバンを仕立てたという、この年代のジムニーバンの製作方法から、ここの継ぎ目は錆び易い。ランドクルーザー40系ではホイールハウスとサイドパネルの継ぎ目から錆が来るが、ジムニーはココだ。しかし貫通しているのは2箇所のみ。ここも軽く補修されているものの、やり直し!

フロアパネル
 
ここも古いジムニーのウイークポイント。大抵は地面が見えるようになってしまうのだが、この固体も張り替えられている。E/Gルーム側から見ると、半自動溶接用の溶棒がピロピロ〜っと顔を出している。

フェンダー
 
巻き上げた泥や水によって裾に穴。ここも定番だが、致命的なほどの穴ではない。

ドアパネル
 
またド定番ポイント。ウインドーのウエザーストリップがお粗末故、雨水が浸入し易く、下側は溶けて無くなるのが運命。しかし助手席側に錆は皆無。ジーザス!!しかし運転席側は・・・・・。何故かこういう錆車は運転席側の腐食が激しい傾向にあるようだが、運転者がエチレンガスでも出しているのだろうか??まあ、単に使用頻度が高いだけかもしれない。独りで乗る→エアコン無い→運転席側の窓開ける→雨水入る→腐食。特にエアコン無しの場合、雨天時の窓の曇りを取るには窓を開けるかヒータースイッチをONにするかが悩みどころ。私は窓開けます。

内装
 
全塗装時にコーションラベルをシッカリ残してくれているのが有難い。雨で洗われている外装に比べて非常にバッチイがコンディションは上々。リアドア付近は雨水がココに垂れる仕組みになっている為、動かさずに置いておくとこのように錆びる。しかし無問題!

おまけ
  
インパネ下には排気温度警告灯が増設されていた。リアウインドーには爆レアな「寒冷地仕様車」ステッカー。給油キャップには「 ST SJ LJ 」の打刻入りの当時物。キャリィやLJと共通部品ですから。しかし現代の軽トラックやJA22までこのキャップ使ってます。「S]マーク入りボルトもチラホラ。

さてさて。とっても素敵なベース車です。っていうか、自分のエイトよりも程度が良いのがヒジョーーーーにムカつきます。幌の方は私が高校生の頃にレストアしたのだが、年数が経つとどうしても稚拙さが目立ち、やり直したい衝動に駆られる事しばし・・・。しかし日常使用するので叶わぬ夢よ・・・このバンでリヴェンジじゃあああ!!!!

昔は綺麗に仕上がってたんだけどね・・・・

本日の出費 0円
合計 73550円